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知的障害で障害年金を受給している人はたくさんいます。「自分も障害年金を申請できるだろうか…?」と思いつつ、なかなか申請できない人もいるでしょう。条件や判定基準を知ることで自分が該当するかどうかの判断材料になります。今回は、知的障害で障害年金を申請するための条件や判定基準など詳しく解説します。
知的障害とは?
知的障害とは、発達期までに生じた知的機能の障害によって、知的能力と社会生活への適応機能が遅れた水準にとどまり、日常生活において困難を抱えている状態をいいます。
知的障害は個人差があり、一般的に以下の4つのレベルに分類されます。
1. 軽度知的障害(軽度精神遅滞)
- IQ範囲: おおよそ50~70
- 特徴:
- 学習の速度は遅いが、基本的な学問技能を習得することができる
- 日常生活においては比較的自立して行動できるが、複雑なタスクや高度な抽象的思考には困難を伴う
2. 中度知的障害(中等精神遅滞)
- IQ範囲: おおよそ35~49
- 特徴:
- 基本的な読書や書き込み、簡単な計算は可能だが、学習進度はさらにゆっくり
- 社会的なルールや生活習慣の習得には時間がかかる
- 日常生活でのサポートが必要だが、簡単な作業には従事できる
3. 重度知的障害(重度精神遅滞)
- IQ範囲: おおよそ20~34
- 特徴:
- 言語や概念理解が非常に制限されることが多い
- 基本的な身の回りのことを自分だけで行うのは難しく、絶え間ないサポートが必要
- 行動やコミュニケーションが制限される
4. 最重度知的障害(最重度精神遅滞)
- IQ範囲: 20未満
- 特徴:
- 言語および非言語コミュニケーションがほとんどできないことが多い
- 基本的な日常生活動作はほとんどすべてサポートが必要
- 多くのケースで重複障害(身体的な障害、医療的な条件が伴う)がある
知的障害の状態によっては障害年金を受給出来る可能性があります。
以下で障害年金の制度や、障害年金の受給のポイントなどもご紹介しておりますので、是非ご覧ください。
障害年金を申請するための大切な2つの条件
障害年金を申請するためには大切な2つの条件があります。それぞれ見てみましょう。
初診日に年金に加入している
知的障害で病院を受診した時に、国民年金か厚生年金のいずれかに加入している必要があります。「受診状況等証明書」という書類があり、初診日がいつでどの病院を受診したかを証明しなければなりません。
保険料を納付している
初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合委員機関を含む)と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上である必要があります。20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、この条件は不要となります。
これは簡単に言うと、国民年金の場合は保険料をしっかり納めていないと障害年金を申請できないということを意味しています。
いずれの条件も満たしている必要がある
「初診日に年金に加入している」、「保険料を納付している」という2つの条件は必ず満たしている必要があります。例えば、知的障害で他の人からの多くのサポートが必要でも、この2つの条件を満たしていないと、障害年金は申請できません。
初診日の注意点
初診日は「知的障害」と診断されたときではありません。知的障害の症状で病院を初めて受診した日になります。知的障害の場合、初めは頭痛など他の症状で精神科や心療内科ではない病院を受診している場合があります。その後、知的障害と診断され障害年金を申請する場合は、初診日は「頭痛」で受診した病院で証明してもらう必要があるので注意しましょう。
障害年金の手続きの流れ
障害年金を申請するときは一般的に下記の流れを取ります。
1.初診日を確定する
2.保険料の納付要件を満たしているか確認する
3.受診状況等証明書を取得する
4.医師に診断書を作成してもらう
5.病歴・就労状況等申立書を作成する
6.申請に必要な書類(戸籍謄本や通帳のコピーなど)を揃える
7.年金事務所か市区町村役場(または役所)に提出する
等級判定ガイドライン
障害年金には等級があります。1級が重く3級は症状が軽い判定です。初診日に厚生年金に加入していた人のみ3級の判定がありますが、国民年金の場合は1,2級のみとなります。
等級 | 障害の状態 |
1級 | 知的障害の症状のため、常に援助が必要 |
2級 | 知的障害の症状のため、生活がとても難しい |
3級 | 知的障害の症状のため、仕事に制限がある |
※難しい言葉はできるだけ使わず、分かりやすくしています。
日常生活の状態から予想される等級は下記の通りです。
予想される等級 | 日常生活能力 |
障害状態にない | 病状はあるものの、日常生活や社会生活は普通にできる。 |
3級か障害状態にない | 家庭内で普通に生活できるが、社会的には援助が必要。 |
2、3級 | 家庭内で単純な生活はできるが、時に応じて援助が必要。 |
2級 | 日常生活にも身の回りにも多くのサポートが必要。 |
1級 | 身の回りのこともほとんどできず、いつもサポートを必要とする。 |
※あくまで目安です。
日常生活能力を判定する7つの場面
日常生活能力の判定は下記の7項目判定されます。下記の項目が一人で生活したらできるかどうかで判断されます。
適切な食事 | バランスよく食事が定期的に取れるか。食欲にムラがないか。食事は1日何回か。いつ食事をしているか。料理を作れるか。配膳片付けができるかどうかなど。 |
身辺の清潔保持 | お風呂は毎日入れるか。シャワーだけか。家族の声掛けがないと入れないか。自分で体を洗えるか。着替えができるか。掃除や洗濯を自分でできるか。自分の部屋の掃除ができるかなど。 |
金銭管理と買い物 | お金の管理ができるか。一人で買い物できるか。計画的に買い物できるか。一人でスーパーへ行けるか。買いすぎたりしないかなど。 |
通院と服薬 | 通院に付き添いが必要か。予約日に受診できない時があるか。薬はきちんと飲めるか。薬の管理は自分でできるか家族がしないと行けないかなど。 |
他の人との意思伝達及び対人関係 | 自分の気持ちは相手に伝えられるか。対人関係は円滑か。友人との交流はあるか。家族や親との関係はどうかなど。 |
身辺の安全保持及び危機対応 | 事故などから自分の身を守れるか。通常と異なる状況で他の人に援助を求めることができるか、または適正に対応できるかなど。 |
社会性 | お金の引き出しや送金ができるか。役所などの手続きは自分でできるか。家族がしないとできないかなど。 |
申請にあたっての注意点
日常生活能力の判定は医師が記載します。医師は診察時の観察と患者からの情報に基づいて判定を記入します。診断してもらう前に自分の日常生活の状態を医師にしっかりと伝えましょう。
うまく話せない場合は、自分の状況を書いたメモを渡したり、客観的に説明できる家族に説明してもらうこともできます。普段から医師とコミュニケーションを取り、状況を説明するようにしましょう。
働いている人が自分は収入があるから障害年金の申請ができないと決めつけないようにしましょう。確かに働けていることが、知的障害の症状が軽いと判断されることがあります。しかし、仕事の種類や内容、仕事の状況、職場でどんなサポートを受けているか、他の従業員との意思疎通の状況などを考慮した上で日常生活能力が判断されるので、働いていても障害年金の申請をすることができます。
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